叔父・朝青龍に叱られるのを覚悟で豊昇龍がレスリングから相撲の道へ変更したわけ (4ページ目)

  • 武田葉月●取材・構成 text by Takeda Hazuki

 四股名は「豊昇龍」に決まりました。師匠(立浪親方)の四股名、「旭豊」の「豊」と、叔父さんの「朝青龍」の「しょうりゅう」を「昇龍」としたものです。カッコイイ四股名で、一発で気に入りました。

 一緒に初土俵を踏んだ仲間の中で一番意識していたのが、納谷(現・十両、王鵬)。彼のことは埼玉栄高校時代から見ていますが、お祖父ちゃんが元横綱・大鵬関で、お父さんが元関脇・貴闘力関というところも気になっていました。前相撲では2勝同士で当たって、負けてしまい、本当に悔しかった。

 もちろん僕は、彼のお祖父ちゃん、お父さんの現役時代は知らないんですが、昔の相撲の動画とかを見て、どんな相撲を取る力士だったのかは研究していました。お父さんの貴闘力関は僕の叔父さんとも対戦があるのですが、闘争心というか、ファイトがすごい力士という印象です。コロナが落ち着いたら、相撲のいろいろなことを直接聞きに行ってみたいとも思っています。

 力士になるにあたって、一度モンゴルの実家に帰ったんです。その時、叔父さんに言われた言葉がありました。

 それは、「山の上じゃなくて、足の下の石を見ろ」というもの。

 モンゴルのことわざなんですけど、一歩一歩、地道に歩んでいけ、という意味だろうと自分では理解していますし、忘れられない言葉ですね。

 あとは、「酒に呑まれるな(笑)」。

 この頃は未成年ですから、あまり意味はわからなかったけれど、22歳になった今、叔父さんが現役の頃は力士が派手に飲んでいたという話も聞いて、少しは理解しています。ただ、僕は特にお酒が好きというわけじゃないですし、今はコロナ禍で、外でお酒を飲んだりするのが禁じられていることもあって、そのことはあまり心配していません。

(つづく)

豊昇龍智勝(ほうしょうりゅう・ともかつ)
本名:スガラグチャー・ビャンバスレン。1999年5月22日生まれ。モンゴル出身。立浪部屋所属。抜群の身体能力と多彩な技で相撲ファンの期待を集める。第68代横綱・朝青龍は叔父にあたる。好きな食べ物は肉。2021年秋場所(9月場所)の番付は東前頭筆頭。

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