「スポーツへの風当たりが強い状況は残っている」。金メダリスト宇山賢が考えるフェンシング界の今後
フェンシング エペ・宇山賢インタビュー(後編)
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日本男子フェンシング エペ団体チームの金メダル獲得に、「ケタ違いの反響があった」と話す宇山賢は、東京五輪に向けて2年ほど前からプレースタイルの変更に取り組んでいた。その過程、五輪を終えたあとの日々、多くの人に注目を集めることになったフェンシング界の未来について語った。
東京五輪で金メダルを獲得したフェンシング男子エペ団体。右が宇山賢この記事に関連する写真を見る***
――金メダルを獲得してから、宇山選手の日常生活に変化はありましたか?
「『五輪の金メダル』が持つ重みか、放たれる謎のオーラというのか......。その力の大きさにビックリさせられています。僕としてはいつもどおり試合をやった感覚なのですが、本当に多くの反響がもらえていますね。その状況を不思議に感じることもありますが、それが五輪でメダルを獲ることの難しさを証明しているように感じます」
――ちなみに、フェンシング以外で今やってみたいことはありますか?
「趣味の音楽に没頭したいですね。ひとりでスタジオに行って、ドラムを叩きたいです」
――自身のSNSで、ギターを弾く動画をアップしていましたが、ドラマーでもあるんですか?
「中学2年の時に友人のバンドに誘われて、独学でドラムを始めたんです。でも、実際に文化祭でライブに出演してみると、ステージの前方で演奏しているギタリストやボーカルが羨ましくて。それでギターを始めました。
社会人になってからは、ひとり暮らしのマンションでエレキギターを弾く機会が増えました。最近では、RADWIMPSさん、King Gnuさん、Official髭男dismさんの曲を弾くことが多いですが、さまざまなアーティストの曲を探して演奏を楽しんでいます。コピーしたくても、難しすぎて弾けない曲もたくさんありますが(苦笑)」
――東京五輪の試合前に聴いていた曲はありますか?
「RADWIMPSさんの『会心の一撃』という曲です。冒頭のギターの速弾きを目覚まし
にしていました。団体戦の日は、朝6時くらいに会場に向かうスケジュールだったこともありますし、『やってやるぞ!』みたいな曲のイメージも合うかなと。
フェンシングのフットワークや、アタックをする時もリズム感は重要なんですよ。コーチからも、『ツーテンポでアタックに行く』といった指示があるくらいですから。僕は、拍やリズムで説明されたほうがしっくりきますね」
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