ピタリ追走→怒涛のゴール。金メダル・髙木菜那がマススタートを語る (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

「普通のレースで使うレーンのさらに内側を使ってレースをするので、その分きついコーナーを滑る技術も必要ですが、日本電産サンキョーではショートトラックの練習も取り入れているので、そういうところの基礎もあるのかなと思います。それに周りを見るという点では、昔サッカーをやっていたのでそういう力がついているのか、けっこう周りを見ながらレースを組めているのかなとも思う。本当に今までやってきたことが無駄じゃなかったんだなとも思います」

 個人2種目で銀と銅を獲得した妹の美帆には大きな刺激を受けた。それを今度は菜那が、マススタートの金メダルという形で返した。その頑張っている姿も、持っている才能の豊かさも知る妹に見せた、姉の意地の金メダルでもある。

 スピードスケートの女子は、ソチではメダルにかすることもなかった状態から、チームと個人で複数のメダルを獲得するまでに力をつけてきた。それでも中・長距離に関していえば、大黒柱の髙木美帆という存在が大きい。チームパシュートの金メダルも、髙木美帆なしでは、とても手が届かなかっただろう。

 菜那のマススタートの金メダルも、そんなチーム状況の延長線上のメダルともいえる。ただ、菜那が金メダルまで辿り着いたという事実は、他の選手に美帆の活躍以上の影響や刺激を与えるはずだ。

 その点では日本チームにとっては小平奈緒や髙木美帆のメダル以上に意味があり、価値のあるメダルだったと言える。

◆世界が驚くカーリング女子。チームを作った本橋麻里「8年前の想い」>>

◆日本女子パシュート、「オランダ超人軍団」も一蹴する世界最髙の滑り>>

■平昌五輪 記事一覧>>

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る