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ピタリ追走→怒涛のゴール。
金メダル・髙木菜那がマススタートを語る (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 思わぬアクシデントでひとりになったことで、髙木の戦法は明確になった。

「本当は綾乃と一緒に作戦を組んでワンツーフィニッシュを狙おうとしていたので、それができなかったのには悔しい気持ちもあります。だから、自分ひとりでいくしかないと腹をくくり、最後のスプリント勝負に懸けて綾乃の分まで頑張ろうと思いました」

 そう話す髙木が考えた作戦は、2015~16シーズンにこの種目でW杯総合優勝している2回のイレーネ・シャウテン(オランダ)か、昨季の同種目W杯総合優勝のキム・ボルム(韓国)をターゲットにすることだった。

 レースは1周目を過ぎてからサスキア・アルサル(エストニア)がひとり抜け出して13周目まで首位をキープする展開になったが、髙木は序盤からシャウテンの後ろにピタリとつける。

 シャウテンは、髙木と同チームのウイリアムソン師円が「ソチ五輪の翌年にチームでオランダに行ったとき、入ったチームにイレーネもいて、その時から菜那さんと最後のスプリントをバチバチ戦っていた。マススタートのトップ選手だから、菜那さんも刺激を受けたのだと思う」と説明するトップ選手だ。髙木とは、互いに相手の滑りを熟知している仲でもあった。

 さらに髙木に味方したのは、オランダをはじめとして各国のチームプレーがうまく機能しなかったことだ。残り3周手前で先頭集団が形成されたときに、選手が2名とも残っていたのはアメリカのみ。そのアメリカも、ミア・マンガネロがペースアップして先頭に立つと、もうひとりのヘザー・ベルフスマが脱落し、マンガネロも最後は失速した。

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