ピタリ追走→怒涛のゴール。
金メダル・髙木菜那がマススタートを語る

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 平昌五輪スピードスケート最後の種目として2月24日に行なわれたマススタート。オリンピックでの実施は初となる。

 女子で出場した髙木菜那(日本電産サンキョー)と佐藤綾乃(高崎健康福祉大)は、W杯での優勝や表彰台の経験があり、メダル獲得の可能性がある種目だった。一方で、結果が読めない種目でもある。

五輪で初めて実施されたマススタートで金メダルを獲得した髙木菜那五輪で初めて実施されたマススタートで金メダルを獲得した髙木菜那 16周のレースで4周ごとに3回のスプリントポイント獲得地点がある。そこで獲得できるポイントは1位通過で5点、2位で3点、3位で1点。ゴールでもポイントが加算され、1位60点、2位40点、3位20点。

 スプリントポイントとゴールポイントの合計で順位が決まるが、ゴールポイントが大きいので実質的にはゴール順でメダルの色が決まる。そのため、位置取りやレース展開が熾烈なうえ、他の選手の滑りなども要素として絡み合って、予想外の結果になることも多い。

 さらに、マススタートは各国2名が出場できるため、チーム競技としての側面も持っている。ふたりがうまく連携を取って滑ることで、ワンツーフィニッシュを狙ったり、片方の選手を優勝させるために、もうひとりが牽引役になったりと戦略的なレースもできる。

 ところが日本は女子の決勝で、そのチームプレーが使えない状況に追い込まれてしまった。準決勝第1組で滑った髙木は、1回目のスプリントポイントを1位で通過して5点を獲得。その後は余力を残して16名で滑る決勝進出を決めた。しかし、第2組に出てきた佐藤は、2回目のスプリントポイントを獲得しようと攻めたときに、前を滑っていたカナダ選手の転倒に巻き込まれて転倒し、肘を痛打してレースを中断。決勝進出を逃してしまったのだ。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る