ピタリ追走→怒涛のゴール。金メダル・髙木菜那がマススタートを語る (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

「残り2周になる前からアメリカの選手がスピードを上げていったのですが、そのスピードが落ちてきたラスト1周の手前からイレーネ選手が前に出てくれたので、自分の想像通りの展開になりました。最後のひとつ前のコーナーでイレーネが少し膨らんでいたので、これなら内に切り込めるなと思って、最後のコーナーを出たところで切り込みました」

 ピタリと2位につけて最後のコーナーを回った髙木は、出口でシャウテンが外に大きく膨らんだところをついて先頭に出た。追ってきていたキムがその瞬間に髙木の後ろで、少しバランスを崩したという幸運もあった。最後の直線のスプリント合戦で抜け出した髙木は、2位に上がったキムを0秒12抑えての金メダル獲得となった。

 レース後、髙木が笑顔で振り返る。

「チームパシュートで金メダルを獲れたということが、本当に心の支えになっていました。『絶対に金を獲るんだ、獲らなきゃいけないんだ』という気持ちで狙っていたチームパシュートで優勝できたことで、マススタートには落ち着いて臨めたのがよかったと思う。この優勝は信じられない気持ちも強いですが、個人種目では、まだまだ戦えないけど今回から新しく始まった種目で結果を残せたので......。美帆だけではなく菜那もいるぞというところは見せられたかなと思います」

 マススタートは頭を使わなければいけない種目で、見ていても面白いはずと髙木は言う。技術や体力が必要なのはもちろんだが、相手の選手を見極めてつく位置や、レース展開を落ち着いて見るなど、レースの中でいろいろな状況を把握する能力も必要となる。髙木は自分の適性を次のように分析する。

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