平昌五輪で金銀メダル独占が見えた。伊藤有希が女子ジャンプW杯初優勝 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之/PICSPORT●写真 photo by Nkamura Hiroyuki/PICSPORT

 1本目でトップに立った14日の2本目は、「今までは2本いいジャンプを揃えるのがすごく難しくて、1本よくても1本はダメというのが多かったのですが、今日は2本ともミスを最小限に抑えられたことがよかった」と、力強い踏み切りで96mまで飛距離を伸ばし、着地でもテレマークを入れて高梨に12点以上の差をつけてW杯初勝利をあげた。

 これまでは、プレッシャーに負けて踏み切りのタイミングが遅れることも多かったが、この日は試合後「今日の2本目は緊張したら『晩御飯は何を食べようかな』と考えようと思っていたんです。でもそれを考えることなく、自分のやることに集中できていた」と言って大声で笑う。

 伊藤は葛西紀明が監督としてチームを引っ張る土屋ホームに入ってから、コツコツと積み上げてきた努力が花を咲かせ始めた。

 その力は15日の第2戦でも発揮された。前日3位になっていたマーレン・ルンビー(ノルウェー)が97mの大ジャンプでトップに立っているうえに、雪が激しく降り始めるという悪条件でのジャンプだったが、少し強くなった向かい風を生かして97mを飛び、ルンビーに2.9点差の2位につけた。しかし、2本目はヒルレコードの100mを飛んだルンビーに屈し、「昨日より踏み切りのタイミングが遅れて、着地でテレマークを入れられないジャンプになってしまった」と、2位という結果に納得はしていなかった。

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