平昌五輪で金銀メダル独占が見えた。伊藤有希が女子ジャンプW杯初優勝

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之/PICSPORT●写真 photo by Nkamura Hiroyuki/PICSPORT

 W杯通算79戦で49勝という勝ち星を積み上げてきた高梨沙羅(クラレ)。そのひとつの区切りでもある50勝達成を期待された1月14日からのW杯札幌大会では、その数字が彼女の重しになったのかもしれない。50勝を意識し過ぎたのかという質問に彼女は「そうですかね。いい内容のあとにいい結果がついていると思うので、いつもそういう風に考えているんですけど......」と言葉を途切らせた。

札幌大会でワールドカップ初優勝を果たした伊藤有希札幌大会でワールドカップ初優勝を果たした伊藤有希 13日の公式練習と予選では90m、88m、85mと飛距離を伸ばせなかった高梨だが、14日の試技では弱い向かい風を受けて全選手最長の100.5mを飛び、前日の狂いを完璧に修正したかに見えた。そして本戦1本目も秒速0.35mの追い風という、若干不利な条件ながら、93mのジャンプを飛んだ。トップは前日の公式練習1本目で100mと飛んでいた95mの伊藤有希(土屋ホーム)に譲ったが、その差は4.5点。逆転可能な範囲だった。

 しかし2本目は弱い向かい風を受ける中で飛距離を92mまでしか伸ばせず、96mを飛んだ伊藤に突き放されて2位という結果に終わった。

「たくさんの方にも期待されていたので『50勝目を札幌で』と思っていましたが、反省することが多く、悔しさとともに申し訳ないという思いがあります」

 こう話す高梨は距離を伸ばせなかった原因を、前週に2勝したドイツ・オーベルストドルフのラージヒルの感覚から、切り替えられなかったからだという。

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