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IOCバッハ会長との対話。もう喜んで五輪を開催する国はない (5ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

「あらゆる準備が3カ月前に済んでいればと思うこともあるだろう」と、バッハは言う。「もちろんホスト国には、繁栄し、団結し、オリンピックを開催する日を日々待ちこがれていてほしい。しかし今の世界で、それは夢でしかない」

 確かにそのとおりだ。オリンピックを開くことを快く思っていないのは、リオデジャネイロの住民だけではない。17日間のスポーツ大会のために巨額の金を投じて街をつくり変えようという都市は、今では少なくなった。

 2022年の冬季オリンピックだけでも、オスロ(ノルウェー)とストックホルム(スウェーデン)が費用の問題から立候補を取り下げ、サンモリッツ/ダボス(スイス)、クラクフ(ポーランド)、ミュンヘン(ドイツ)が住民投票で反対が多数だったことから立候補を取りやめた。

 開催都市は北京に決まった。雪がない街だが、重要なことに、住民投票もない。

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