IOCバッハ会長に聞く「リオ五輪で最も楽しみにしていることは?」

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】オリンピックの危機(2)

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 世界がオリンピックに向ける目が変化していることを、トーマス・バッハは知っている。2013年にIOC会長に就任したとき、バッハは「ささやかな変革を公約していた」と、デイビッド・ゴールドブラットはオリンピックの歴史を新たに書いた『ザ・ゲームズ』に記している。

 一番の公約は、開催都市にとっての負担を小さくすることだった。「以前なら開催都市に立候補するのは、チェーン店のフランチャイズになりたいと申し込むようなものだった」と、バッハは言う。

リオ五輪の選手村を訪問したバッハIOC会長(代表撮影/ロイター/アフロ)リオ五輪の選手村を訪問したバッハIOC会長(代表撮影/ロイター/アフロ)「満たさなくてはいけない条件がいくつもあった。テーブルは白、ウエイターは赤と白を着る、パンはここで買わなくてはだめ。今ではこれが逆になり、こちらから『さあ、聞かせてもらおう。この大会はあなたの国の都市計画に、あなたの国の発展にどのような刺激をもたらすのか?』と言うようになった。いま重要なのは、スポンサーの喜ぶような17日間の大会のために都市を不格好につくり変えるのではなく、将来にわたって役立つ施設を用意するという選択をホストに認めることだ」

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