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IOCバッハ会長との対話。もう喜んで五輪を開催する国はない (4ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 もし開催都市が(たとえば2004年大会のアテネのように)幸運に恵まれれば、国の経済が大会終了後にバブル景気にわくこともある。だがリオデジャネイロ大会は、開幕前から災難が続いていた。ブラジルは2014年にサッカーのワールドカップを開催した頃、1930年以来最悪の景気後退に突入した。大会の経済効果を期待していたブラジル人には、冗談としか思えない話だった。

 その後、ジルマ・ルセフ大統領の弾劾裁判が始まった。ほかにも、ジカ熱やチケット販売の低迷、過去の大会以上に遅れた会場建設など、多くの問題を抱えてきた。

 しかしバッハは、ブラジルに相次ぐトラブルの深刻さを小さく見せようなどとはしない。

「この国では政府が危機にあるだけでなく、州政府も危機にある。財政も危機、社会も危機だ。ジカ熱の問題にも立ち向かわなくてはならない。これらすべての結果、この国は深く分裂している」と、彼は言う。だが、これだけの危機がありながらも、ブラジルは7年の間に「都市の状況を改善できた」と、バッハは主張する。

 リオデジャネイロの観光地区からオリンピック公園のある市西部までをつなぐ地下鉄4号線が運行を始めたのは、開会式の4日前だった。オックスフォード大学の調査によれば、今回のオリンピックには総額46億ドル(約4800億円)が投じられ、2年前のワールドカップでも多額の投資が行なわれたが、それでもリオデジャネイロの交通機関は大きく改善されていない。

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