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【月刊・白鵬】横綱が目標とした36度目の優勝。達成後の本音 (4ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 大きな壁を超えたあとは、やや緊張の糸が途切れてしまった感もあったのですが、すぐに新たな目標を定めることができました。それは、父の記録です。

 モンゴル相撲の横綱だった父は、「ナーダム」と呼ばれるモンゴルの全国相撲大会で6度の優勝を果たしています。ナーダムは、年に一度の開催です。それを単純に、1年に6場所ある大相撲で換算すると、36回優勝したことになります。つまり、私も通算36回の優勝を果たせば、「父に並ぶことができるのではないか?」と考えて、偉大なる大鵬関の記録を超えたあとは、その記録を目指してきました(※参照。2015年3月18日配信「史上最多優勝を遂げた横綱が次に狙う『記録』」

 それもまた、決して簡単なものではありませんでした。昨年7月の名古屋場所(7月場所)で35回目の優勝を果たして、モンゴル人力士の大先輩・旭天鵬関の引退の花道を飾ることができたのですが、翌秋場所(9月場所)は横綱になって初めての休場。以降、なかなか万全な体調で場所に臨むことはできませんでした。

 ただそんなとき、その姿を見た旭天鵬関に、「僕が横綱に無理をさせたんじゃないかなぁ……。なんか、責任を感じちゃうな」などと言われてしまいました。大先輩に、そんないらぬ心配をさせてしまったことは、本当に心苦しかったですね。そこからは、もう一度気合いを入れ直して、旭天鵬関の引退相撲が行なわれる5月の夏場所(5月場所)までには、36回目の優勝を飾ろうと、強く決心しました。

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