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【月刊・白鵬】横綱が目標とした36度目の優勝。達成後の本音 (3ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 また、その際に驚かされたのは、師匠自らまわし姿になっていることでした。同時に、還暦を迎えているにもかかわらず、現役時代を彷彿とさせるあの筋肉質の体を維持していることにも衝撃を受けました。おかげで、私自身、改めて身を引き締めることができました。

 そうして十分な準備を整えて、初日を迎えるにあたっても、万全を期すことができたと思いますが、やはり相撲とは難しいものですね。

 とはいえ、2日目の琴勇輝(前頭筆頭)戦からは、なんとか気持ちを切り替えることができました。この勝利で、横綱在位中の勝ち星が671勝という最多記録を達成し、少しずつ自分のペースをつかんでいけたように思います。結果、7日目には通算勝利数で大潮関に並ぶ歴代3位タイ(964勝)となるうれしい記録を遂げることもできました。

 横綱という存在は、常に優勝争いに絡む戦いをするべきものだと、私は考えています。そのため、優勝を重ねていく中、そのときどきで目標を設定して相撲を取ってきました。次は朝青龍関の優勝回数を目指そう、次は千代の富士関の優勝回数に届くようにがんばろう、といった具合です。

 そこで、大きな壁になったのが、昭和の大横綱・大鵬関の優勝32回という記録でした。その記録に追いつき、超えるまでは、本当に苦しい日々を重ねてきました。だからこそ、昨年その大記録を更新したときは、とても感慨深いものがありました。

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