2016.04.30

【月刊・白鵬】横綱の相撲界への道を拓いた、知られざる「恩人」

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

第60回:モンゴル人力士の「父」

横綱が相撲界に入るきっかけを作った
大阪の物流会社『摂津倉庫』の浅野毅会長が亡くなった。
モンゴル人力士の父親的な存在であり、
横綱の”恩人”でもある会長をしのぶ……。

 去る4月14日に発生した熊本地震。被害に遭われた方々には、心からお見舞い申し上げます。

 地震が収まることなく、まだまだ落ち着かない日々をお送りのことと思いますが、1日でも早く普段の生活を営むことができること、また心身の疲労が回復されますことを、今はただただ祈るばかりです。それは、力士会会長・日馬富士関以下、力士会全員の思いです。

 2011年3月11日、東日本大震災が起こったとき、相撲界は不祥事による春場所(3月場所)中止という事態の真っ只中にありました。そのため、ニュースで大震災の実態が伝えられる中、「私たちは力士として何ができるのか?」ということをずっと考えていましたが、実際に活動が許されるまで多少時間がかかってしまいました。

 あれから5年、東北地方を中心とした被災地の方々の悲しみや苦しみは、時間の経過によって癒えるものではありません。力士会としては、子どもたちに元気を出してほしいという活動を継続しています。

 そして、今後の被災地の支援について「どんな活動をしていくべきか」ということは、春場所後の春巡業中、日馬富士関とずっと相談していたところでした。ちょうど私が6年間務めてきた力士会会長を退任し、4月から日馬富士関が新会長に就任したからです。

 その矢先に起こったのが、熊本地震でした。奇しくも、4月14日は日馬富士関の誕生日。東日本大震災当日は、私の誕生日でした。そうした偶然には驚くばかりですが、その分、忘れることのできない日となりました。だから余計に、私たち横綱が中心となって、さまざまな活動をしていかなければいけないと思いましたし、その使命を果たすことを心に誓いました。