スピードスケート女子に期待の星。押切美沙紀が見せた大器の片鱗 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫●写真 photo by Fujita Takao

 こう言って押切を高く評価する黒岩監督は、今季の彼女を「スケートに対する考え方がスマートになってきて、人のアドバイスを素直に受け入れるようになった。それにナショナルチームのデヴィットコーチの指導を受けながらも私のところにいろいろ相談やアドバイスを求めるなど、これまでより貪欲になった」とも語った。

 押切はその変化を、「デヴィットコーチとは言葉もうまく通じないので大変だけど、言うことをよく聞くようにしています。そういう風に環境が変わったことで、自分が今まで黒岩監督に甘えていたことに気がついたんです。以前は監督に何でもぶつけるだけだったけど、そこは変わりたいと思いました」と説明する。精神面での自立も意識し始めたのだ。

「まだ世界との差はあるけど、少しずつ自己ベストを縮められている状態だから、その差をもっと縮められるように頑張りたい。ソチはまだ実力が足りなくて出ただけで終わったけれど、次の平昌五輪は戦える選手になって行きたい」

 こう話す押切は現在23歳。これからは1000mでも戦えるようになりたいという彼女に、黒岩監督は「ちゃんとやれば、これからの6年間は日本の中心選手になって戦える素質を持っている選手。平昌では入賞を狙えるようにして、その次の北京ではメダルを狙えるまでにしていきたい」と期待を寄せる。

 やっと開花し始めた押切が、日本女子中・長距離のレベルアップを担うキーポインタ―として成長する片鱗を、この大会ではっきりと見せた。

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