2015.10.28

【月刊・白鵬】予期しなかった休場が、横綱にもたらしたもの

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

第54回:休場

休場明けとなる九州場所での巻き返しに意欲を見せる白鵬。秋場所(9月場所)で横綱昇進後、
初の休場を味わった白鵬。
それには屈辱的な思いを感じたというが、
休場することによって、
新たな”発見”があったようだ。

 一年の締めくくりとなる九州場所(11月場所)の番付が発表されました。私もすでに博多入りして、11月8日の初日に向けて稽古に励んでいます。

 博多という土地は、食べ物が美味しくて、人の温かさがあって、気候もよくて、私の肌にとても合っています。ゆえに、6年連続優勝を果たすなど、年6場所の中では最多となる7度の優勝を九州場所で飾っています。そんな相性のいい舞台で、先の秋場所(9月場所)で休場した分を取り返したいと思っています。

 横綱に昇進して以来、初めて休場に追い込まれたその秋場所。初日に隠岐の海、2日目に嘉風と連敗を喫してしまいましたが、左ヒザに大きな違和感を覚えていたのが、その原因でした。結局、病院で診てもらうと、左大腿四頭筋腱炎(ひだりだいたいしとうきんけんえん/左太ももの前方にある筋肉の炎症)と診断され、1カ月の休養を余儀なくされました。

 私は日頃から、「千秋楽まで土俵に上がり続けてこそ、横綱である」と言ってきました。どんなことがあっても、”休まない”ということをポリシーにしてきました。それだけに、今回の診断にはショックを受け、休場という判断を下すには、苦渋の思いがありました。

 ただ、左ヒザが思うように動かない状態で土俵に上がることは、私のポリシー以前に、相手力士に対して失礼なこと。今思えば、「休場」という選択も仕方がないことだと思っています。