【月刊・白鵬】予期しなかった休場が、横綱にもたらしたもの (3ページ目)
さて、本場所中は、まず宮城野部屋で朝稽古をして、そのあとちゃんこ鍋を食べます。その後、私はしばらく休息をとってから、15時くらいに国技館など本場所の会場に向かうのが、通常のパターンです。
そのため、若い力士の相撲を見る時間は、なかなかありません。会場の支度部屋内にはテレビが設置されていて、そこで相撲中継は放送されているのですが、支度部屋に入ったら、ウォーミングアップなどをして、すぐに自分の準備に取り掛かってしまうので、十両や幕内前半の取組などもほとんど見ている余裕はありません。
それが今回、休場したことによって、若い力士の相撲から、幕内上位の相撲まで、連日じっくりとテレビ観戦することができました。それによって、これまで見えていなかったことが、いろいろと見えたような気がします。また違った経験というか、いい勉強になったという点では、よかったな、と思っています。
加えて、休場中とはいえ、体を多少は動かしておかなければ、相撲の感覚が鈍ってしまいます。そこで、宮城野部屋で軽い運動をすることがありました。その際、ウチの部屋の若い衆に、さまざまなアドバイスを与えることができたのもよかったです。彼らの取組も日々見ていたので、いつもよりも緻密で的確な指示を送れたと思います。
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