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【フェンシング】金メダリスト・太田雄貴に残された「最後の務め」 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi  photo by AFLO

 そうして行き着いたのが、「最近は勝つとか負けるとかではなく、フェンシングがうまくなりたいというところにモチベーションを置けるようになってきた。それを証明する場所が試合。勝ち負けや報酬ではなく、自分がフェンシングを理解し始めたとワクワクしている」という心境だ。

 また、世界選手権の試合後には、「これまで五輪は2位で、2010年の世界選手権は3位。だから、日本人でも勝てるというところを証明し、オレグを金メダリストのコーチにしたかった」と話していた。その結果、太田の世界ランキングは一気に2位まで上昇。世界選手権を制した太田がリオ五輪での金メダル候補の一角であることは間違いない。

 だが、リオ五輪に向けて太田は、再び団体戦で勝負することに重きを置いている。

 現在、日本の国別世界ランキングは8位。世界選手権では順位決定戦で韓国を破って7位になったが、世界ランキングでは韓国(6位)との位置関係は変わっていない。一方、世界選手権で衝撃的だったのは、五輪に無条件で出場できるランキング4位以内に該当する3位の中国が、世界選手権後には5位に落ちたことだ。

 ランキング5位以下だと、4位までに入っている国を除いて各大陸1位のみが五輪出場権を得られるだけとなる。つまり、日本がリオ五輪の出場権を得るためには、来年2月までの4大会でポイントを獲得して4位以内に上がるか、現在5位の中国が10点差で迫る4位のアメリカに逆転したうえで、6位の韓国を抜いてアジア・オセアニア勢2位にならなければいけないのだ。日本が来年2月までに4位になるには厳しいかもしれないが、6位の韓国とのポイント差は17点。逆転不可能な差ではない。

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