【体操】若手の成長で悲願の「団体金メダル」に視界良好

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi  photo by AFLO

8月特集 リオ五輪まで1年、メダル候補の現在地(8)

 2012年のロンドン五輪・個人総合王者で、世界選手権は2009年のロンドン大会から2014年の南寧(なんねい)大会まで個人総合5連覇中の内村航平(コナミ)。男子体操の世界で、彼の存在が絶対的なのは疑いようのない事実だ。ただ、「体操王国ニッポン」の悲願は、2004年アテネ五輪以来となる「団体金メダル」に他ならない。エースの内村もその思いは強く、事あるごとに「団体での金メダル獲得」と発してきた。

世界選手権に出場する大学1年生コンビの白井健三(左)と萱和磨(右)世界選手権に出場する大学1年生コンビの白井健三(左)と萱和磨(右) リオデジャネイロ五輪でその悲願を達成するために、内村を頼りにする面は仕方ないだろう。重要となるのは、内村以外の日本人選手の成長度だ。リオ五輪まで残り1年となった今、日本男子体操のレベルはどこまで引き上げられているのか。今年4月、全日本選手権で8連覇を達成した内村とともに目を引いたのは、2014年の世界選手権の個人総合・銅メダリスト、田中佑典(コナミ)の安定感を増した姿だった。

「昨年の世界選手権で3位に入ったことで、W杯シリーズにも出場させてもらって経験を積めました。今、僕が目標にしているのは団体での世界一。その代表メンバーに入るためのひとつとの方法として、個人総合の力を高めるのがいいと思いました」

 大会前の記者会見でこう話していたように、田中は試合の2日間を通して安定した演技を見せ、全日本選手権で2位につけた。さらに、今年10月にイギリス・グラスゴーで行なわれる世界選手権の第2次選考会となった5月のNHK杯でも、6種目中4種目で15点台を叩き出して内村に次ぐ90・275点をマーク。全日本選手権との合計でも2位になり、世界選手権の代表メンバー入りを決めた。

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