【月刊・白鵬】横綱が振り返る2014年「3大ニュース」 (3ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 2番目は、新横綱・鶴竜、そして新大関・豪栄道の誕生です。が、このニュースを取り上げたのは、叱咤激励の意味があります。

 まず鶴竜は、九州場所では私と最後まで優勝争いを展開しました。しかしあと一歩及ばず、今年は横綱として4場所を経験しながら、その間は一度も優勝することができませんでした。横綱昇進を果たしたことは良かったと思いますが、彼にとっては悔しい思いのほうが強い一年だったのではないでしょうか。

 2015年は、その悔しさをバネにして、さらに奮起してほしいと思います。そして、私と日馬富士とともに、横綱三つ巴の優勝争いを、ファンのみなさんにお見せできたらいいな、と思っています。

 豪栄道も同様です。大関昇進前の夏場所、名古屋場所では、私も彼に手痛い黒星を喫しましたが、大関に昇進してからは本来の力が発揮できていません。大関になって2場所目の九州場所では、まさかの5勝に終わってしまいました。

 とはいえ、私は彼の気持ちの強さを買っています。苦境に陥ったときにこそ、彼の精神的な強さがモノを言うはずです。2015年にはきっと、巻き返しを図って、さらなる進化を遂げてくれると信じています。

 最後は、若手力士の台頭と、大相撲人気の復活です。

 今年の初めは、昨年の秋場所、入門からわずか4場所で新入幕を果たした遠藤が、引き続き相撲界の人気を牽引。ザンバラ髪のイケメンで、彼の存在によって、女性ファンがすごく増えました。

 その後、春から夏にかけては、前述したとおり、鶴竜が横綱に、豪栄道が大関に昇進。世の中に話題を振りまいてくれました。

 そして極めつけは、突如現れた“モンスター”逸ノ城の躍進です。今年の初場所で初土俵を踏んだばかりの21歳が、新入幕の秋場所で快進撃。新入幕力士としては異例とも言える、大関、さらには横綱との対戦が組まれました。そのうえで、大関に加え、横綱からも白星を挙げてしまったのです。当然、世間の注目度は一気に高まりました。

 おかげで、秋場所は15日中、14日間が「大入り」。その後の九州場所でも、17年ぶりに初日の「満員御礼」を記録し、大盛況となりました。

 逸ノ城本人は、あまりの人気ぶりに体調を崩すこともありましたが、関脇に昇進した九州場所でも見事に勝ち越し(8勝7敗)。話題の“モンスター”ぶりを存分に発揮して、2015年の一層の飛躍を予感させてくれました。

 こうしたハツラツとした若手の台頭によって、明らかに人気が回復してきた大相撲。本場所に限らず、地方巡業でも、多くのお客様に足を運んでいただきました。2015年も、そうしたファンの方々の声援に応えるべく、我々力士たちはより一層の努力を重ね、一番、一番、全力を尽くして相撲を取っていきたいと思います。

プロフィール

  • 白鵬 翔

    白鵬 翔 (はくほう・しょう)

    1985年3月11日生まれ。モンゴル・ウランバトール出身。本名:ムンフバト・ダヴァジャルガル。宮城野部屋所属。2001年3月場所の初土俵から順調に昇進し、2007年7月場所で横綱昇進を果たす。以来、安定した相撲で勝ち星を重ね、数々の記録も打ち立ててきた

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