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五輪開催都市決定前夜。ブエノスアイレス市民が見た「日本」 (3ページ目)

  • 三村高之●文 photo&text by Mimura Takayuki

 さて、東京が選ばれる決定的瞬間を取材しようと大挙して訪れた報道陣だが、その前に立ちはだかったのはIOCのコントロールだ。これまでの総会に比べ規制がはるかに厳しく、本会場の中に入れるのはごくわずか。プレゼンテーションや開催地発表という重要な場面でも、カメラマンは1~2名に限定されるという。アスリートとツアー客用のパブリックビュー会場も、スペースの関係で抽選に当たったカメラしか入れない。はるばる重たい機材を担いで来ながら、満足なものが撮れないのではないかと、フラストレーションが溜まっている。

 そんな中、少しでも情報を得ようと焦る一部の報道陣が、会場周辺でIOC委員への突撃取材を敢行。投票権を持つ彼らの本音が聞ければスクープとなる。しかし、強引な取材は委員の心証を害し、それが投票に悪影響を及ぼす恐れがある。放射能汚染問題の払拭に追われる中、また新たなマイナス要因が出現しては大変と、東京招致委員会が「取材適正化のお願い」という異例の通達を出すに至っている。

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