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【レスリング】伊調馨が語る「ロンドン五輪と、未来の私」 (2ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text & Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO

――開始早々、足を取られましたね。

伊調 あれは、普段なら逃げられたでしょうけど、「まぁいいか、ムリしなくても。取り返せるから」と冷静でした。それからは結構できたので、行けるかなと。

――それは、日本選手団全員の中で「最も金メダルに近い選手」と評されていた余裕でしょうか?

伊調 そんなことはありませんけど、普段通りにできました。でも、本当にトレーナーやドクターにはお世話になって......。ロンドンの金メダルは、支えてくれた皆さん、全員のおかげだと思っています。

――ところで、ロンドンでも髪型はコーンロウ(※)でしたね。

※コーンロウ=頭髪を数ブロックに分け、ブロックごとに髪を三つ編みし、頭皮に沿って編み込んでいくヘアスタイル。

伊調 オリンピックや世界選手権など大きな大会は試合数が多いので、あのヘアスタイルのほうが面倒くさくないんです(笑)。

――オシャレではないんですか?

伊調 とんでもない。ラクだからですよ。

――髪型は日本でセットしてからロンドンへ?

伊調 はい。いつも決まった美容師の方にお願いしているんですけど、早くて2~3時間で終わるので、大会前の気分転換にもなりますし。でも、頭がかゆくて大変ですから、試合が終わったら、すぐに解きます(笑)。

――北京五輪で2連覇した後は、男子選手と練習することが多くなったと聞いています。

伊調 はい。練習拠点を愛知から東京に移して出稽古に行くようになって、男子の代表合宿にも参加させていただきました。

――それをキッカケにレスリングが変わったようですが、男子の反応はいかがでしたか?

伊調 最初はちょっと冷たかったかも(笑)。女子がオリンピックや世界選手権でメダルをいっぱい獲れるのは、「まだ歴史が浅いから」とか、「競技人口が少ないから」という偏見みたいものがあったというか......。だから、私が「合宿に参加させてください」と言っても、「どうせ朝練だけだろう」「毎日は来ないよな」とナメられていたと思います。でも、私は図々(ずうずう)しくすべての練習に参加して、全部のメニューをこなしたんですよ。

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