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【スキージャンプ】ソチ五輪と同じ舞台で表彰台にのぼった高梨沙羅。
経験して生まれた新たな決意 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 9日のソチ第2戦。向かい風が多かった1本目のジャンプで、高梨より先に飛んだヤクリン・シーフリーズバーガー(オーストリア)とコリン・マテル(フランス)が98.5mを飛んだ。それを見て渡瀬コーチは前日から考えていた作戦を実行に移し、スタートゲートを1段(50cm)下げた。今季からコーチの申請で自由にゲート位置を変えられるルールになったからだ。

 高梨はその条件で97mを飛んで、テレマーク着地を決め、ゲートファクター(ゲートの位置による得点)3.2点の加点を加えて2位のマテルを0.9点上回った。さらに同じゲートで飛んだ最後のヘンドリクソンは93.5mに止まり、計算通りにトップで折り返した。

 だが2本目は時間が過ぎるほど追い風が強くなる条件になった。そして多くの選手が飛距離を伸ばせないでいる中、最終ジャンパーの高梨を含めた3人が飛ぶ前には悪条件のために長時間競技が中断された。その後再開されたが風の条件は良くならず。結局、高梨は全選手中最も強い秒速0・93mの追い風を受けて飛び、91.5mに止まった。彼女の直前に飛んで231.1点でトップに並んだダニエラ・イラシュコ(オーストリア)とマテルに2.2点届かず、3位に止まった。

 渡瀬チーフコーチは「計算では相手が100m超えをしてきても、高梨がゲートを2段下げて98~99mを飛べば、ゲートファクターの6.4点があるから勝てる計算だったんです。だがそれは100m超えがポンポン出る試合の話だから......。今日の2本目は条件がドンドン悪くなってきたから、それを使える状況ではなかった」と苦笑する。

 高梨に「1本目は作戦がピタリと当たったが、2本目は追い風に叩かれたのか」と聞くと、「1本目の作戦は渡瀬コーチが考えたことだからわからないけど、2本目は追い風というより踏み切りのタイミングが大きく外れてしまい、そこから建て直すのが大変で、テレマークも入れられなかったんです。自分のジャンプが悪かったですね」と、淡々とした表情で答える。

「1本目は自分の中でもまぁまぁいいジャンプでテレマークもギリギリ入ったような感じで良かったけど、2本目は踏み切りのタイミングが遅れてしまったのが悔しいですね。着地した瞬間は順位のことより、『タイミングが遅れてジャンプがダメだったな』ということしか考えられませんでした。2本目に長時間待たされたことはあまり苦にならなかったけど、集中力が欠けた気もします。『やっぱり最後は集中力とか忍耐力が重要になるんだな』ということを強く思いました」

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