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【スキージャンプ】ソチ五輪と同じ舞台で表彰台にのぼった高梨沙羅。
経験して生まれた新たな決意 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 この大会、高梨が大きな課題にしたのは助走時の体の重心の位置だった。夏場にも崩れたことがあると言うが、冬に入ってからはお尻が上がり過ぎてつま先に重心がかかるような滑りになっていた。ソチのジャンプ台は助走路の傾斜がなだらかなため、踏み切るタイミングが取りづらく、「踏み切ろう」と構えてしまい、どうしても前側に体重がかかってしまいがちになる。だからそこを強く意識して改善しようとしたのだった。

 試合を終えた高梨は、「少し前よりはまだましという状態です。そういうのはやっぱり、練習をしないと直らないと思うので、来週のラムソー(オーストリア)の試合までは時間も短いですけど、集中して直していきたいと思います」と話した。

 だが渡瀬チーフコーチは、「2本目は斜め後ろからの追い風で飛行曲線を低くされてしまったから、最後にテレマークを入れる余裕がなかった。でも、そういう状態でも表彰台に上がったのだから、それに自信を持ってもらいたいですね。助走の重心の位置もソチへきてからの練習でかなり良くなってきているし、次のラムソーは高梨も相当好きなジャンプ台だから、かなりやってくれると思います」と期待する。

 来季(2014年)の2月には五輪の舞台となるソチのジャンプ台。それを経験した高梨はこう言う。

「もう一度このジャンプ台に来て飛べるように、この後も頑張っていきたいと思うけど、正直五輪のことはまだ考えていないので。それよりももっと技術を磨いていかなければいけないと思っているし、もっと2本のジャンプを揃えられるような安定性も上げていかなければいけないと思います。だからとりあえずは、1試合1試合どの試合も楽しめるように、全力で戦うというか、飛びたいと思います」

 先の目標よりも、今やらなければいけないことをクリアしていく方を大事にしたいと考える16歳の高梨。この後も12月、1月に行なわれるヨーロッパの大会や、2月の札幌・蔵王のW杯連戦、そして2月20日から始まる世界選手権に向けて、淡々と自身のジャンプを磨こうとしている。

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