【スキージャンプ】ソチ五輪と同じ舞台で表彰台にのぼった高梨沙羅。経験して生まれた新たな決意

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

左から優勝したコリン・マテル(フランス)とダニエラ・イラシュコ(オーストリア)、3位の高梨沙羅左から優勝したコリン・マテル(フランス)とダニエラ・イラシュコ(オーストリア)、3位の高梨沙羅 W杯開幕戦、11月24日のリレハンメル大会(ノルウェー)では、弱い向かい風の1本目はあえてスタートゲートを下げて96mを飛び、3位に付けた高梨沙羅。2本目には98mのジャンプで、1本目トップだった昨季W杯総合女王のサラ・ヘンドリクソン(アメリカ)を逆転して、好スタートを切った。

 そして、女子ジャンプW杯2戦目の舞台は、2014年2月の五輪会場となるソチ(ロシア)。周囲は工事の真っ最中で、雪もまったくない状態だった。そのため助走は凍らせたインラン(レール状の溝の助走路)を使っての戦いとなったが、12月8日の第1戦は、終始向かい風が吹く好条件の中で行なわれた。

 この試合、高梨は1本目に最長不倒距離106mの大ジャンプを見せた。だが飛び過ぎともいえるヒルサイズジャンプで着地のテレマーク姿勢を決められず、103.5mのヘンドリクソンに飛型点で上回られて2位でスタート。続いて2本目も最長の104mを飛んだが、テレマーク姿勢が完全ではなく、103mのヘンドリクソンを逆転できず2位に止まった。

「ヘンドリクソンはたまたまいい風に当たっただけで、今季はそんなにいいとは思っていない。高梨のジャンプも内容的には絶対負けていないと思うし、負けたのは着地の技術だけ。飛距離で勝ってもテレマーク差で負けた、去年と同じような試合になってしまいました」

 こう話す日本チームの渡瀬弥太郎チーフコーチは試合後、高梨に「何mくらいならテレマークを入れる自信があるか」と確認してみた。すると「100m以内なら大丈夫」という答えが返ってきた。

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