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【月刊・白鵬】ロンドン五輪、女子選手は「あっぱれ」も男子柔道には「喝」 (3ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 それを克服するためにも、今後は違った発想を持つことも大事かもしれません。例えば、これまではいろいろな国が日本にやってきて、稽古をしていたと思いますが、これからは日本が積極的に他国に「出稽古」に行ってもいい。そこで、アウェーの雰囲気やプレッシャーの克服法などを勉強したほうがいいのではないでしょうか。

 出稽古に行けば、新しい友人が増えるだろうし、彼らと話をすることで思いがけない発見もあるでしょう。当然、精神的にも鍛えられます。日本チームという枠にとらわれず、選手個々が自立した気持ちの強さを持つことができれば、日本柔道にとって新しい道が見えてくるように、私は思うのです。

 相撲だって同じです。同じ部屋の力士同士だけで稽古していては、ある程度までは強くなるでしょうが、さらに“上”を目指すには限界があります。私がこの連載コラムの場を借りて、大関の把瑠都や稀勢の里に「(私のいる)宮城野部屋にどんどん出稽古に来てください」と何度も呼びかけてきたのは、彼らにその“上”を目指してほしいからです。

 そういう意味では、他の部屋の関取衆とふんだんに稽古ができる巡業は、すばらしい機会と言えます。そこで、いろいろな力士と相対することで、志のある力士はどんどん伸びていくと思います。また、かつて初代若乃花関や千代の富士関などの横綱は、勢いのある若手力士に対して、巡業の時に思い切り稽古をつけて恐怖心を植え付けていたと聞いていますが、横綱にしてみれば、他の力士の力具合を図る絶好のチャンスでもあるのです。

 今回の夏巡業は、北海道の旭川市から始まって、山形県大江町までの8箇所で行なわれました。おかげさまで、どの土地も多くのお客様が駆けつけてくれて、大盛況に終わりました。さらに途中では、石巻市と宮古市の被災地での慰問巡業もあって、そこでは新たな勇気をいただきました。本当にありがとうございました。

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