【月刊・白鵬】ロンドン五輪、女子選手は「あっぱれ」も男子柔道には「喝」 (2ページ目)
また、友人の吉田沙保里選手もあっぱれでした。五輪で3連覇を達成するということは、自己管理の徹底、強い意志がなければ到底できるものではありません。私も一昨年連勝記録を伸ばしているとき、どれだけ苦しかったことか。63連勝は、初場所(1月場所)千秋楽から九州場所(11月場所)2日目にかけてでしたから、期間としては11カ月間近くに及びます。考え込んだり、眠れなかったりしました。
同じように今回の五輪では、それまで眠れないことがほとんどなかったという吉田選手でも、眠れない夜があったと聞いています。それほど、勝ち続けるということは、苦しくて、大変なことなのです。その苦難を乗り切った吉田選手は、本当にすごいと思います。今度、五輪の話を聞きながら、ゆっくりお祝いをしたいものです。
ほかでは、なでしこジャパンの銀メダルをはじめ、卓球女子団体の銀メダル、バレーボール女子の銅メダルなど、日本女子選手のがんばりがすばらしかったですね。なかでも、なでしこジャパンはすごかった。佐々木則夫監督と選手たちとの意思疎通もできていて、最高に輝いているチームだと感じました。できることなら、金メダルを獲ってほしかったです。
その反面、残念だったのが、男子柔道です。モンゴルで過ごしていた少年時代からずっと、日本と言えば柔道という印象があります。モンゴルでも柔道が盛んで、日本の選手たちの戦い方は常にお手本になっていました。だから余計に歯がゆかったです。
今回、男子柔道を見ていて一番に思ったことは、「プレッシャーに弱いな」ということです。
柔道は、日本のお家芸であり、日本は世界の王者という存在。そのため、他の国の模範にならなければいけないし、勝利に対する"しばり"も必要なのでしょう。しかし選手たちは、そうした「勝たなければいけない」「金メダルを取って当然」という重圧に負けてしまっているように見えました。
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