【ミラノ五輪】中井亜美、17歳のセンセーション「最後の瞬間まで楽しみたい」坂本花織ら抑え首位発進 (2ページ目)
【大舞台をどれだけ楽しめるか】
「練習から調子がよかったので、本番は『やるだけかな』と自信もありました」
取材エリアでも笑顔の中井は小刻みにうなずきながら、一つひとつ質問に答えていた。
「まずは、落ち着いてショートを終えられてよかったです。(初のオリンピックの)怖さはなく、緊張も思ったほどはなく、楽しみだなって気持ちでした。グループの1番目だったし、6分間練習の気持ちの流れから2分半の演技に挑めました。練習から試合のイメージをつくって挑めていたんで、最後の最後まで自分を信じられてよかったです」
強心臓というのか、胆力で違いを見せた。シニアデビューシーズンでGPファイナル2位に輝き、全日本選手権でも4位になって、五輪の出場権を得た経歴はダテではない。憧れの浅田真央が滑った五輪の舞台で堂々とノーミスの演技をし、代名詞だったトリプルアクセルも同じく成功させたのである。
「夢が叶ったというか......浅田さんが、この舞台で(トリプルアクセルを)着氷できたことに自分は憧れたので、自分のように憧れてくれたらうれしいです」
中井は言うが、ルーキー特有の無欲さというよりも、勝負師の度量の大きさに映った。
「初めてのオリンピックだから失うものがないので、今回は緊張がなく、いつもどおり自分らしく滑れました。スピンしている最中から、歓声は聞こえていました。今までの人生で最高の瞬間だったなって思います。日本の国旗を振ってくれる日本人の方がたくさんいて。ちょうど家族が来ているので演技が終わったあとにどこにいるのかなって探して、手づくりのバナーを振っているのを見つけて......」
結局、中井の得点をアリサ・リュウも坂本花織も千葉百音も超えられなかった。SP1位は、17歳にはすでに大手柄だろう。2月19日のフリーに向けては金メダルの期待もかかる。
「メダルをほしいかと聞かれたら、もちろんほしいです。でも、今回はそういう結果重視で来ているわけではないので、オリンピックをどれだけ楽しめるかっていうのを続けて、最後の瞬間まで楽しみたいです」
彼女はそう言って小さく笑った。五輪を一番強く感じたのは、リンクに五輪マークがあることを実感した時だという。17歳はまどろっこしく考えない、肌で感じるのだ。
「ここまで来たんだな」
その感慨が、規格外のルーキーをしかるべきところへ導く。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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