【フィギュアスケート】中井亜美を襲った「あり得ないほどの緊張」 初の五輪へ「自分自身を信じたい」 (3ページ目)
【自分を信じて初めての五輪へ】
12月21日、中井はフリーで「あり得ないほどの緊張」を感じていたという。大舞台で自分のベストが出せるか。SPではその不安を乗り越えたが、フリーでは冒頭のトリプルアクセルを失敗し、大きな得点源を失った。
ただ、中井の値打ちはここからだ。完全に切り替えて、6本のジャンプをすべて成功した。ルッツのコンビネーションジャンプは2つとも難易度が高く、ハイスコアを叩き出した。
「自分でもわかるくらいの緊張を感じました。ただトリプルアクセルのあとで演技をまとめられたのは成長した部分かなって。(失敗の挽回は)初めての経験ではないので、『いつもどおりやれば大丈夫』って言い聞かせてできました」
中井は心境を明かしていたが、その度胸はこれからの彼女の道を明るく照らすだろう。
もっとも、フリーはアクセルのミスが響いて7位だった。総合4位で表彰台を逃していた。
「演技直後はホッとして涙が出たんですが......花織ちゃんや麻央ちゃんの演技を見て、すごいなというのと、悔しいなという気持ちと。ジュニア時代の全日本4位はうれしい涙。今回は表彰台に乗れずに悔しい涙なので、成長だと思います」
取材エリアの彼女は、とめどなく涙を流していたが、その自負心こそが原動力だろう。現状に満足しない。
「自分は結果に対して自信を持てることが今までの人生でなくて。結果は過去。そこを信じるよりも、今までやってきた自分自身を信じたい」
その夜、中井は五輪出場権を勝ち獲っている。たった1年で、望外の進化を遂げた。2026年2月、17歳はミラノでさらに化ける。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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