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坂本花織が「限界突破!」 たくさんの課題を財産にしてミラノ五輪へ向けポジティブ (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【はしゃぎすぎて、先生に......】

 19日のフリーは、SPで崩れたアンバー・グレン(アメリカ)が自己最高の148.93点を出していて、坂本は最後のリウを残しての演技だった。

「リンクサイドの応援席から『カオちゃん』という声が聞こえたので、試合前で集中したいけどもう笑いが抑えられなくて。『もうええわ』と思ってずっと笑っていました。この試合は緊張感半分、楽しさ半分という感じなので。最初の緊張はいつもどおりにあったけど、みんなの盛り上げのおかげで楽しさが復活してきたって感じです」

 こう話す坂本の演技は、出だしからスピードに乗った滑りで、完璧なダブルアクセルを決めて勢いをつけたかに思えた。だが、そのあとの3回転ルッツは、オーバーターン気味に振られて耐える着氷に。さらに次のダブルアクセル+オイラー+3回転サルコウも、最後のサルコウは4分の1回転不足の「q」判定で着氷を乱す。

 後半の3回転+3回転もトーループはオーバーターンになりながらも、コレオシークエンスはノリノリで坂本らしさも見せた。だが最後の3回転ループも「q」判定で着氷を乱す。「これぞ気合いで乗りきったという演技、という感じでした」と、坂本は苦笑しながら自己分析した。

「ルッツを耐えたあたりから乳酸が溜まりすぎて、こりゃやばいと思いながら......。でも、みんながこれでもかというくらいに応援してくれたので、それがすごく力になりました。団長もめちゃくちゃ楽しかったです。今年はとくに楽しかった。もちろん大変だとふとした瞬間に思ったこともあったけど、リンクに来たらやっぱり楽しい。はしゃぎすぎて、中野(園子)先生にも『自分が滑る力は残しとけ』とずっといさめられていました。今日の演技も、自分が団長じゃなかったらもうちょっとテンションが低かったかなと思います」

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