【世界フィギュア女子】韓国の新星キム・チェヨンは「侮れない存在」 坂本花織は前戦のリベンジで4連覇なるか?
世界フィギュア2025・女子シングル プレビュー
3月26日(現地時間、以下同)にショートプログラム(SP)、28日にフリーが行なわれるフィギュアスケートの世界選手権、女子シングル。最大の見どころは、2022年から大会3連覇をしている坂本花織(シスメックス)が、4連覇を達成できるかどうかだ。大会4連覇すれば、66年ぶりの快挙となる。
を破り、四大陸選手権も優勝した急成長中のキム・チェヨン photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る
【坂本花織は4連覇の偉業を意識せず臨む】
「4連覇はあまり意識せず、来季の(ミラノ・コルティナダンペッツォ)五輪までの2シーズンをトータルで考えたい」との意識をもって今季に臨んだ坂本。「いろいろな挑戦をしている最中」だと、231.88点の高得点で優勝した2024年11月のNHK杯以降は、さらなる得点力アップのため、フリーでは基礎点が1.1倍になる演技の後半に3回転+3回転の連続ジャンプを入れるなど挑戦を続ける。
だが今季は、波の大きい結果となっている。10月のGPシリーズ・スケートカナダは、優勝はしたもののフリーで崩れて合計201.21点。12月のGPファイナルもSPは4位と出遅れ、フリーも細かいミスを連発して201.13点。急成長中のアンバー・グレン(アメリカ)に9月のロンバルディア杯に続いて敗れ、千葉百音(木下アカデミー)も下回る3位という悔しい結果に終わった。
その後、年末の全日本選手権優勝で悪い流れを払拭したように思われたが、2025年2月の冬季アジア大会ではSPを1位発進しながらも、フリーでは後半の3回転フリップの転倒などのミスが出た。最終的にキム・チェヨン(韓国)に逆転され、211.90点で2位と、想定外の結果だった。
この敗戦で坂本は、世界選手権4連覇に対する意識を強くしたはずだ。グレンやキムといった、追いかけてくる選手が出現するなか、ビッグタイトルをひとつも獲れずに終わってしまえば、五輪シーズンへの流れをつかめなくなる。
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著者プロフィール
折山淑美 (おりやま・としみ)
スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。