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全日本5位・松生理乃が悪戦苦闘の3年間から見出した活路「経験が次につながると実感できた」 (4ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【トップを見るとまだまだ足りない】

 彼女は自らを責めたが、「復活」を告げる大会になったのは間違いない。

「私は悔しい気持ちでいっぱいだったんですけど、(山田満知子)先生から『完璧とはいかなかったけど、(山下)真瑚ちゃんも、(和田)薫子ちゃんも、みんな良い演技だったよ。ありがとう』って言ってもらえて。最終グループに残れたのはうれしかったし、なかなかできなかったことなので、この経験をまた次に活かせたらなって」

 松生は惜しくも表彰台を逃したが、その経験も次につながるのだろう。ひと足飛びではないスケート人生で、身につけられるものもある。その点、実は彼女はフィギュアスケートに愛されていると言える。

「GPシリーズで表彰台に上がったり、全日本で最終グループに入ったり、少しずつ成長できていると思うんですが。トップを見るとまだまだ足りないって感じるシーズンでした。これではダメで、来年も成長し続けないと!」

 松生は言う。スケートと対峙し続ける。その真剣さが、彼女の人生を導くはずだ。来年2月、韓国・ソウルで行なわれる四大陸選手権の派遣選手に選ばれている。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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