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全日本5位・松生理乃が悪戦苦闘の3年間から見出した活路「経験が次につながると実感できた」 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【経験が次につながる実感】

 2年前の全日本後、言葉を絞り出す松生の姿は痛々しく映るほどだった。

「去年(2021年)はケガ、今年(2022年)は体調不良で......スケートとは別のところで滑れないというのはすごく悔しくて。たとえば、ジャンプの崩れだったら練習でもとに戻せるんですけど、その練習もできなくて」

 当時、松生は意気消沈した様子で話していた。忸怩(じくじ)たる思いを抱えていただろう。しかも、その苦痛は思った以上に長く続いた。

 今シーズンも、開幕直後は不安もよぎったという。

「シーズン入ってもフリーはノーミスできないって思うくらい、体力的にキツくて。練習でもノーミスできなかったので、不安はありました」

 彼女はそう明かすが、戦いを重ねるなか、演技に自信がついた。今シーズンはGPシリーズに出場すると、スケートカナダで2位、フィンランディア杯でも2位につけた。どちらも、フリーで大きく順位を上げた形だった。そしてGPファイナル出場権も得た。

「経験してきたことは次につながるって実感して成長できたシーズン。出てきた課題を見直して、演技に反映できるようになりました」

 松生は言うが、スケートと丹念に向き合うことで、おのずと結果につながったのだろう。一朝一夕ではなかった。しかし苦闘の日々自体が、彼女を着実に強くしたのだ。

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