本田真凜が引退発表 最後の全日本で見せていた決断のサイン 戦い続けたヒロインの誇り (4ページ目)
【スケートをしていたから自分がいる】
本田は時代の寵児として注目を浴び、そのイメージに押し潰されそうになった。しかし成績にかかわらず、リンクに立ち続けてきた。9年連続の全日本エントリーはひとつの勲章だ。
最後の演技後、彼女は口元を両手で覆い、嗚咽を隠した。鳴り響く拍手のなか、ひざまずいて右手でそっと氷をなでた。ひとりのフィギュアスケーターの肖像がそこにあった。
「全日本が終わったあとも、氷には乗り続けたいです。いろいろ苦しいこともありましたが、スケートをしていたからこそ自分がいて。それは幸せなことです」
本田は言う。1月11日、東京都内で引退会見が予定されている。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
本田真凜フォトギャラリー Smile on ICE
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