三原舞依が大崩れしない理由 「最後にコンビネーションをつける予定だったんですけど...」戦略的判断で構成を変更 (4ページ目)
【2度優勝の四大陸選手権へ】
12月24日、フリー。三原は最終グループで『Jupiter』を滑っている。ベストコンディションではなかったが、渾身だった。
「ショートの時よりも緊張がすごかったですが、自分を信じて最後まで滑りきることができました」
冒頭から、ダブルアクセル+3回転トープをみごとに成功させた。3回転ルッツ+ダブルアクセルで高得点を記録。3回転フリップは「エッジが不明瞭」の判定でGOE(出来ばえ点)を伸ばせなかったが、3回転サルコウ、3回転ループ+2回転トーループ+2回転ループを成功。3回転ルッツは「q」がついたが、最後の3回転ループは完璧に降りた。
冒頭に記したように、プログラムの仕上がりは大会屈指で、万感に思いを託す歓声を浴びている。
ただ、スコアは131.86点で5位だった。ジャンプで回転不足がつくなど、GOEを稼げなかったことが響いた。トータル199.56点で表彰台を逃し、総合5位だ。
「NHK杯の時よりよくなっているので、年明けの試合に出させてもらえるなら全力で。今の状態でできるベストで、プログラムの完成度をさらに上げていきたいです」
そう語っていた三原は、2024年1月30日から開幕する四大陸選手権に出場が決まっている。過去に2度の優勝を誇る大会で、彼女らしい世界をつくり出すはずだ。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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