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三原舞依が大崩れしない理由 「最後にコンビネーションをつける予定だったんですけど...」戦略的判断で構成を変更 (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【「集中力の天才」「やればできる」】

 12月22日、ショートプログラム(SP)。三原は前の滑走者と入れ替わってリンクに入った。得点が出るまでの間、入念に体を温めた。最後に黒い手袋を預け、リンクサイドで後ろ向きになって中野園子コーチに送り出される。そのルーティーンは安定した滑りでベストを出すためのものだ。

「ギリギリまで緊張しながら、ジャンプの不安もあって。なかなかはまっていなかったので」

 三原は言う。

「『集中力の天才』っていうのを今回も先生が言ってくださって。『やればできる』という先生方の最後の声って、一番頭に入ってくるので。感謝する滑りをしたいって、一つひとつの要素で切り替えながらできました」

 セリーヌ・ディオンの名曲『To Love You More』の旋律に乗って、冒頭のダブルアクセルを着氷。3回転ルッツ+3回転トーループは「q」(4分の1回転不足)がついたが、きれいに降りた。3回転フリップも成功。スピン、ステップはすべてレベル4で、曲の切れ目のバレエジャンプも華やかだった。曲の愛らしさを氷上に創出していた。

 スコアは67.70点で4位。十分に表彰台を狙える得点で、昨年の2位も照準内だった。

「落ち着いて滑ることができました。滑り終わってアワアワとして、夢じゃないかなって」

 三原はそう振り返ったが、偶然ではなかったはずだ。

「最後にコンビネーションをつける予定だったんですけど、第1ジャンプで何かあったら、コンビネーションが入らなくなるのはもったいないので。今回は確実に、最初にコンビネーションを跳んで落ち着いてって。本当は最後に(セカンドをつけて)跳びたいんですけど、朝の練習からこの構成にしようって決めていました」

 戦略的判断を下せるのも、彼女が大崩れしない理由だが、まとっている空気が無垢なのだ。

「トレーニングしたらしっかりケア、を続けてきました。栄養もたくさんとって、牛乳もたくさん飲んで、カルシウムとビタミンも。コンディションを整えるため、どうしたらいいかを考えて過ごして。NHK杯より体の状態はよくなっているので、フリーに向けて準備をします!」

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