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三原舞依が大崩れしない理由 「最後にコンビネーションをつける予定だったんですけど...」戦略的判断で構成を変更 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【ここにいられてうれしいな】

 12月20日、長野。大会公式前日練習でリンクに立った三原はNHK杯の時と比べると、表情が明るかった。やや重く見えたジャンプに羽がついたような軽やかさが戻っていた。

「30分間しか練習時間がなかったんで、最初から動こう、と。アップから体を温めながら会場の雰囲気を感じて、"ここにいられてうれしいな"と思いながら滑りました」

 三原は弾むような声で語っていた。

「(ケガの)痛みは、まだあると言えば、あるんですが。それ以上に全日本まで必死に練習を積んできたので。1カ月はあっという間で、それほど充実していたんだなって自信になっています」

 彼女は"必死に"を強調した。体調不良から1年のブランクで復帰した当時、命を削るように滑っていた彼女がそう表現するのだから、相当に懸命な日々だったのだろう。

 体の負担を考慮した場合、回数をたくさん跳ぶことはできなかった。限られた本数のジャンプ、一つひとつへの集中力を高めて精度を上げた。

「集中力の天才」

 そう言われる彼女ならではの、スケートへの真摯な向き合い方だ。

 たとえば、動画でジャンプを細かく確認しながら、軸がどうなっているかなどをとことん研究し、「ベストのジャンプの形」を見つけていった。それは体調不良から復帰した時からの習慣だという。当時、どうしても筋力が足りずにグラグラとしてしまう着氷を、どう降りたらバランスを保てるのかと研究するうちに着地点を見出した。

「今年はシーズンインが遅れて滑り込みが足りなかったんですが、ようやく滑り込むことができています。なので、集中して滑ったら大丈夫かなと思っています!」

 彼女は自らに言い聞かせるように言った。

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