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『ワンピース・オン・アイス』で無良崇人が得たヒントとフィギュアスケート界の課題とは

  • 山本夢子●取材・文 text by Yamamoto Yumeko
  • photo by ⒸO/S・F・T OPOI2023

無良崇人 インタビュー 『ワンピース・オン・アイス』

 2014年四大陸選手権男子金メダリストで、現在はプロフィギュアスケーターとしてさまざまなアイスショーに出演している無良崇人さん。2023年夏には『ワンピース・オン・アイス〜エピソード・オブ・アラバスタ〜』に出演し、『ONE PIECE』主人公のモンキー・D・ルフィに立ちはだかる強敵、クロコダイル役を演じて大きな反響を呼んだ。年末のインタビューで、当時の思い出を振り返ってもらった。

『ワンピース・オン・アイス』でクロコダイル役を演じた無良崇人さん ⒸO / S・F・T OPOI2023『ワンピース・オン・アイス』でクロコダイル役を演じた無良崇人さん ⒸO / S・F・T OPOI2023この記事に関連する写真を見る

【フィギュアスケートの敷居を下げたショー】

ーー2023年8月と9月に横浜と名古屋で開催された『ワンピース・オン・アイス』。数カ月が経ちましたが、思い返すことはありますか?

無良崇人(以下同) じつは、いまだにロス感があります。ついこの間もリハーサルの時の映像を見返して、こういうアイスショーがもっとあるといいな、と思ったりします。

 言い方が難しいんですけど、今のフィギュアスケート界は選手個人のファンの方が多いように感じているんです。だから、その選手が引退してしまうと一緒に離れてしまう。もちろんなかには他の選手も応援していて引き続き見てくださる方もいますが、人気選手が引退すると見てくれる方は減ってしまう。

 そんな状況を打開するには、フィギュアスケートは敷居が高いと感じる方も多いと思うので、もっと気軽に多くの人に触れてもらう機会を増やしたい。そういった意味で、『ワンピース・オン・アイス』はそれに成功した例だと思うんです。

『ワンピース・オン・アイス』は、ふだんのアイスショーとは違うことがいくつかありました。普通ならチケットはスーパーアリーナとかリンクにできるだけ近い席から埋まっていくんですが、今回は近い席だけではなくて上のほうの席からも埋まっていって。ちょっとお試しで見てみようと来てくれた方が多いのかなって。

【すごく幸せな時間を味わった】

ーー本番に向けての稽古はいかがでしたか?

 僕は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの『ワンピース・プレミア・サマー2023』を見に行かせていただきましたが、フィギュアスケートとはファンの規模が桁違いなんですよ。アニメや『ONE PIECE』の影響力ってすごいなって。だからこそ、たくさんいるファンの皆さんに受け入れてもらえるものを僕らはやらなくちゃいけないというプレッシャーはありましたし、演じる側として生半可な気持ちで挑んではいけないなと感じていました。

 もちろん、僕らスケーターも『ONE PIECE』がすごく好きだったので、「ここはこう動いたほうがそのキャラクターっぽくない?」と話し合いながら稽古できましたし、演出の金谷かほりさんや振付けの宮本賢二先生をはじめとするスタッフや運営の皆さんと一丸になってショーをつくり上げていけたんじゃないかなって。

 やればやるほど『ワンピース・オン・アイス』の輪が大きくなるというか、絆が強くなっていく。すごく幸せな時間を味わっていたなと思いましたし、携わることができてよかったなと思っています。

『ワンピース・オン・アイス』の稽古風景 ⒸO / S・F・T OPOI2023『ワンピース・オン・アイス』の稽古風景 ⒸO / S・F・T OPOI2023この記事に関連する写真を見るーーぜひまた続編をやってほしいですね。

 本当に楽しかったですし、またやりたいですね。アイスショーでやりたい『ONE PIECE』のエピソードがたくさんあるんですよね。だから、「あれもやれるよね」「じゃああの役は誰がやる?」みたいな話は皆でしていましたね(笑)。

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著者プロフィール

  • 山本夢子

    山本夢子 (やまもと・ゆめこ)

    スポーツライター。青森県八戸市出身。5歳からフィギュアスケートを習い始め、高校卒業まで選手として各大会に参加。その後、渡米し大学を卒業、就職。帰国後は、コピーライターとして広告制作に携わる。2005年からフリーランス。現在はライターとしてフィギュアスケートの専門誌を中心に執筆中。

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