坂本花織、悲願のGPファイナル初優勝へ今季も存在感 立ちはだかる海外勢は虎視眈々 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【吉田陽菜、住吉りをんにも好機あり】

 そんななかで面白い存在になるのが、中国杯で203.97点を出して初優勝を果たした吉田。自己最高は、2022年ジュニアGPシリーズ・イタリア杯の208.31点だ。

 今季の中国杯では、SPはトリプルアクセルで転倒したもの、それ以外のジャンプはノーミス。フリーも成長を見せた。トリプルアクセルに挑戦しながら、同時に他のジャンプの安定感を高めてきたことで高得点獲得の可能性が出てきている。

 冒頭のトリプルアクセルを成功させることが最優先事項だが、今季最高が64.65点にとどまるSPの得点を上げられるようになれば、その勢いで210点台に乗せることもあり得る。レヴィトが足踏みする状況になれば、表彰台圏内に入れそうだ。

 また住吉は今季、フランス杯のフリーで成功した4回転トーループを再び成功させられるかが焦点。フランス杯のフリーは、1位の136.04点を獲得して、SP5位から総合3位まで順位を上げた。フランス杯の合計197.76点が自己最高だが、190.20点で2位に入ったフィンランド大会では、SP自己最高の68.65点を出している。

 住吉は、ここにきて200点台に乗せられる勢いを見せてきているだけに、GPファイナルでトップを追いかける存在になってほしい。海外勢では17歳のニーナ・ピンザローネ(ベルギー)も出場する。

 接戦が期待される。

プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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