女王・坂本花織、新プログラムはギリギリの追い込み「夏休みの宿題みたい」 (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Kyodo News

●反省しきりも前向き

 8月14日、フリースケーティング。坂本は冒頭、ダイナミックなダブルアクセルを決めている。

 彼女の本領発揮だった。『Wild is the Wind/Feeling Good』の旋律に乗り、3回転ルッツ、3回転サルコウも決め、レベル4のスピンも豪快で、反撃の予感が漂った。

 しかしステップで転倒すると、後半は完成度の低さが出た。フリーは120.34点で5位。総合3位に終わった。

「(転倒は)溝に引っかかってしまって。浅かったらすぐ抜けられるんですけど、深くはまってしまい、流れに身を任せてドンって転んだ感じで。

 シーズン後半のやり慣れたプログラムだったら、(転んだ)途中からもうまく入れるんですが......。最後のスピンは『ノーバリュー』だったし、ステップはレベル1、コンビネーションは回転不足で」

 坂本は反省しきりだったが、こうも続けていた。

「いろいろ減点は多かったですが、これから練習でエレメンツを総合的にもっといいものにできるようにしたいと思っています。今シーズンはショートもフリーも、今まであまりやってこなかった曲調なので、足りないところがたくさんあると思うんです。でも、またひとつレベルアップできるように」

 彼女はこれまでも多様なジャンルの曲と向き合ってきた。得意なものに執着せず、どんな曲調にも向き合い、実力を身につけてきている。自らをアップデートさせるたび、強くなってきた。それは彼女の異能だ。

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