女王・坂本花織、新プログラムはギリギリの追い込み「夏休みの宿題みたい」

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Kyodo News

げんさんサマーカップで合計187.62点、総合3位だった坂本花織げんさんサマーカップで合計187.62点、総合3位だった坂本花織「明後日から神戸合宿で、シゴかれてきます!」

 取材エリアで、坂本花織(シスメックス/23歳)は柔らかい表情で言った。世界女王にとって、どんな大会であっても総合3位は明るい事実ではないだろう。180点台は、彼女本来のスコアではない。

 しかし、本人は至って落ち着いていた。その泰然さは、全日本選手権と世界選手権を連覇している"常勝"の裏返しか。

「体の動きからしたら、例年のスタートと比べるとマシなほうかなと思っています。試合でしか味わえない緊張のなか、経験することで何が足りていないのか。(それと向き合って)どんどん練習や経験を積んでいきたいと思います」

 高い次元で自らを律し、外に対して明るく振る舞う。その度量は世界の頂点に立った者しか身につけられない。一方でおどけたスタートポジションのとり方や演技後のハニカミやコケ方のお茶目さまで、すべてひっくるめて「坂本花織」なのだ。

 世界女王の「今」とはーー。シーズンの前哨戦「げんさんサマーカップ」でその姿を追った。

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プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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