島田麻央「私は絶対に捕まえられないぞ」新プログラムで表現した強い女性像 トリプルアクセルにも挑戦 (3ページ目)
●常に見据える将来の世界での戦い
ジュニアデビューした昨季はジュニアカテゴリーの試合は全勝し、初出場だったGPファイナルと世界ジュニアでも優勝。特に世界ジュニアで出した224.54点は、シニアのイ・ヘイン(韓国)や坂本花織(シスメックス)に肉薄するシーズン3位の高得点だった。さらにシニア勢と戦った全日本選手権も初出場で3位と、資質の高さをアピールした。
だが年齢制限の変更もあって、このあと3年はジュニアで戦わなければいけない立場だ。そんな島田は新シーズンの目標を、ユース五輪に出場すること、そして昨季からフリーに取り入れるトリプルアクセルと4回転トーループの精度を上げることだという。取材には冷静な話しぶりで、焦りは感じさせない。
その先には世界ジュニア連覇という目標もあるが、ジュニアで過ごす時間も自分のスケートを着実に進化させていくための時間にしなければいけないと考えている。彼女の視野の先には、現状の世界での戦いだけではなく、いずれ復帰してくるはずのロシア勢の姿も見えているからだ。
今はまだジュニアで実績を積み上げることを目標に設定するが、それも「シニアに上がった時に、世界でしっかり戦える力をつけておきたい」という気持ちが強いゆえだ。
苦手意識のあった表現力の向上も含め、着実に実力を高めている島田。昼に行なわれた土曜日の第2公演と日曜日の第4公演では、転倒はしたものの冒頭のアクセルでトリプルに挑んだ。
唯一のシニアとの真剣勝負の場でもある全日本選手権は、昨季の3位以上の結果を意識しているはずだ。そんな彼女は今季も、日本のシニア勢にとっては無言の脅威を与え続ける存在になりそうだ。
著者プロフィール
折山淑美 (おりやま・としみ)
スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。
フォトギャラリーを見る
3 / 3