羽生結弦の鬼気迫る演技に会場に起こった密やかなざわめき「迫力と予想外の展開に驚愕するよう」【ファンタジー・オン・アイス レポート】 (3ページ目)
●ショー中の地震に気づかいの言葉
そのあとはDA PUMPの大ヒット曲『U.S.A』のフィナーレで気持ちよさそうに踊った羽生。グランドフィナーレでは初出演の山本草太と友野一希、昨季現役復帰した織田信成のグループでのトリプルアクセル挑戦に続き、羽生は4回転トーループに挑んだ。
最初のジャンプは3回転になって苦笑いをしたが、もう一度挑戦してきれいに決めてショーを締めた。
この記事に関連する写真を見る このアイスショー、後半第2部6番目の演者だったハビエル・フェルナンデス(スペイン)の演技が始まってすぐに千葉県東方沖マグニチュード6.2の地震が発生し、会場も震度3の長い揺れに見舞われて演技が一時中断され、10分後に再開した。
最後に肉声で「ありがとうございました」とあいさつした羽生は、マイクを受け取って「地震、怖かったと思います。まだまだ揺れることがあると思いますが、最後まで気をつけて帰ってください」と観客に声をかけた。
今回は、長い間一緒にショーをつくり上げてきた、幼い頃の憧れの存在でもあったジョニー・ウィアー(アメリカ)が、プロスケーターを引退するために最後となる公演。そんな思いもまた、羽生の最後の観客への優しい声かけになって表れていたように思う。
著者プロフィール
折山淑美 (おりやま・としみ)
スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。
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