三浦璃来・木原龍一「りくりゅう」は「まだまだ世界王者だと思っていない」 年間グランドスラムもトップペア勢不在に挑戦者の意識 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

●シーズン締めで自己ベスト更新

 4月15日のフリー。アイスダンスと女子が終了した前日の時点では、日本チームの得点は韓国と並ぶ75点ながら、女子の1位が2回の韓国が2位、日本が3位という状況で迎えた。

 三浦と木原には、ペアで得点差をつけて最後の男子に託さなければいけないという役割もあった。

 木原は大会前、スケートのエッジが少し欠けていたが「研磨をするとリフトの感覚が変わるから」とそのままにした。

 だが、SPの時も木原は「世界選手権とは違って体の動きも変わっていたので、パフォーマンスに集中しなければいけないと思いながらもエッジのほうに気を遣ってしまった」と話していた。

 フリーはエッジの影響が出たのか、最初のトリプルツイストは少しキレのない動きになり、レベル3にはしたが加点は1.60点と少し下げるスタートになってしまった。

 3回転トーループ+2回転トーループ+ダブルアクセルを予定していたジャンプでは、三浦が最初のジャンプで2回転になってステップアウト。ダブルアクセルは跳んだが、認定されたのは最初の2回転のみで、0.63点減点されるミスとなった。

 三浦は「体の調子は悪くなかったので、タイミングのズレかなと思います」と振り返ったが、そのミスで気持ちを切らすことはなかった。

「世界選手権では3回転サルコウのパンクも、スロー3回転ループの転倒も気持ちが負けていた。その負けていた自分に今回は負けたくなかったので、絶対に跳ばなきゃと思っていました。それでいい感じに気持ちを切り替えられたと思います」

 次のリフトから立て直すと3回転サルコウも1.29点の加点のジャンプに。そのあとの要素も確実にこなし、終盤のスロー3回転ループもGOE(出来ばえ)評価でプラス3〜5が並んだ。そして、最後のリフトもレベル4にして演技を締め、安堵の表情を見せた。

 減点はトーループのミスだけという演技で、結果は世界選手権で出していた自己ベストを2.25点上回る143.69点だった。

 その得点について木原は、「3連続ジャンプが抜けた時点で、GOEのマイナス評価も含めて10点くらいの減点になると思っていたので、140点には届かないだろうなと思っていました。

 それでもシーズンベストを更新できたのは、今シーズン頑張ってきたトータルな評価だったのかなと思います」と評価する。

 国別対抗戦はもともと高得点が出る傾向のある大会だが、SPとフリーの合計は224.16点で自己最高を更新するもの。練習時間がほとんどとれなかったなかで十分に納得できる結果だった。

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