三原舞依「ここにいられて幸せだなって」 最多13試合を終えて坂本花織と流した感謝の涙 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

●シーズン13試合目の集大成

 4月12日、大会開幕前日の公式練習に出てきた三原は、ループがはまっていなかった。他のジャンプも本来の調子にはほど遠い。

「右足が言うことを聞くようにしていきます!」

 彼女は気丈に言って、言い訳になるような発言はいっさいしなかった。その意志の強さは、彼女らしい。2週間前の世界選手権で、中野園子コーチが「足の痛み」があったのを洩らしたように、万全の状態のはずはなかった。

「今シーズンは自己最多で13試合目になるので、今までの経験をすべて活かせるように。トレーニングの成果で、ジャンプは前よりも浮くようになって、回りすぎて上体が振られることもあるので、いいジャンプの場所を見つけられたら。

 会場は一番上からだと、リンクが小さく見えるので、少しでも大きく滑りたいって思っています!」

 彼女はあくまで跳ぶイメージをつくろうとしていた。シーズンを通じ、すべてプラスに捉えることで、レベルアップしてきた。

 グランプリ(GP)シリーズ2連勝、GPファイナル女王の称号は伊達ではない。全日本選手権も、自己最高の2位だ。

「国別代表に選んでもらった以上、ちゃんとした演技をしたいなって」

 彼女は謙虚に語っていた。

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