村元哉中&髙橋大輔が現役続行発表の前に語っていた未来。「何を見せられるのかを知りたい」「いろんな表現ができる」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

駆け抜けた2年間の「超進化」

 2021−2022シーズン、結成2年目を迎えたかなだいは気力に満ちていた。

「(2年目は)大ちゃん(髙橋)のリードを感じています。だんだん息は合ってきて。アイスダンスは時間をかければかけるほど合ってくるので、時間との勝負でもありますね」

 シーズン開幕前のインタビュー、村元はそう語っていたが、ふたりは確かな手ごたえを感じていた。

 そして迎えた昨年9月、アメリカの大会「レイバー・デイ・インビテーショナル」に出場すると、成長ぶりを高らかに示した。リズムダンス(RD)、フリーダンス(FD)の合計スコアは214.44点で、幸先のいい優勝を飾った。表現力は群を抜き、FDの『ラ・バヤデール』の「曲の解釈」では10点を与えるジャッジもいた。

 参考記録ではあったが、これが進撃の予兆となった。

 昨年11月のNHK杯では、179.50点で日本歴代最高得点を軽々とたたき出した。

「たとえミスがあっても焦らず動じず、落ち着いて滑れるようになってきました。積み上げてきた練習があるので、自信を持って」

 村元はそう説明していたが、日の丸を振る観客のなかで滑ったRDの『ソーラン節&琴』は壮観だった。さらに同月、ワルシャワ杯でも190.16点を記録し、歴代最高得点を10点以上も更新している。

 12月、全日本選手権は2位にとどまり、惜しくも北京五輪出場を逃した。そのショックは相当なものだったが、すぐに気持ちを切り替えた。今年1月、エストニアで開催された四大陸選手権ではチャンピオンシップ日本勢史上最高順位の2位。そして3月、フランスで開かれた世界選手権に出場し、結成2年で「世界」の舞台に立った。

「はじめの時って、自分たちがどの位置にいるかわからない。ある意味ではノープレッシャーで、演技のことだけ考えていました」

 髙橋は、駆け抜けた2年間をそう振り返っていた。

「試合を増すごとに評価をいただけて、自分たちがここ(世界選手権)にいけるんじゃないかって気持ちや欲も出てきました。自分たち自身でかけるプレッシャーのなかで戦うところもあって、それで緊張感が高まってミスになったのはあるかもしれません。カップルを組んで実質1年ちょっとの経験値の浅さは出ました。僕がフォローしきれなくて......」

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