坂本花織「ロシアの3強は空気感が全然違う」。それでもSP3位発進、メダル獲得へ「思いをぶつける」 (2ページ目)
対する坂本は、これまでエッジエラー(踏み切り違反)をとられることが多かった3回転ルッツを成功。しっかり跳ぶことに集中していた。
「日本ではルッツをしっかり跳ぶことを練習してきたけど、いつも本番になると安定を求めるのでエッジのことは30%くらいしか考えていないんです。エッジエラーだったら100%完璧に跳べるけど......。意識し続けないと最後にエッジ(刃)がイン(内側)になってエラーになってしまう(※ルッツはエッジを外側に倒す)。でも、それを意識しすぎると失敗してしまうというのが、練習でもちょこちょこあって......。今回は、エッジの判定も厳しいと聞いてイチかバチかやるしかないと思い、最後の最後までエッジのことを意識して『アウトで止まれ!』と思ってやったんです」
SP演技後、涙を見せる坂本(左)と迎える中野園子コーチこの記事に関連する写真を見る 最初のダブルアクセルは、ジャッジの全員がGOE(出来ばえ点)加点を4〜5点出す完璧なジャンプだった。そして、3回転ルッツも3〜4点が並び、2.02点の加点に。後半の3回転フリップ+3回転トーループも3〜4点を並べて2.04点の加点をとった。さらにスピンとステップもすべて最高評価のレベル4と、ノーミスの滑りをした。
その得点は79.84点。トリプルアクセルがなくほぼ同じような構成だったシェルバコワと比較すると技術点は坂本が上回ったが、演技構成点ではトランジション(つなぎ)などで差をつけられて得点は0.36点差。非公認だった全日本選手権の79.23点も上回る自己最高得点を記録した。トゥルソワの得点を5.24点上回る、ロシア勢3強の一角を崩しての3位発進となった。
「3回転ルッツが結果として認められたのはうれしいし、得点も全日本で79点が出た時は、まぐれだと思っていましたが、五輪で79点が出たのですごくうれしい気持ちでいっぱいです。トリプルアクセルがなくてもここまで得点を出せたのは、すごく自信になりました」
坂本はそう言って笑顔を弾けさせた。
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