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ドーピング問題を経てワリエワが五輪出場へ。騒動で精神状態が気になるなか、4歳からの夢の実現に挑む (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

【五輪は「夢を見る舞台」】

 あどけない姿のどこに、女王の強さは潜んでいるのかーー。待ち望んでいた五輪で、ワリエワはまず団体で1つ目の金メダルを勝ち獲った。

「北京オリンピックは誰もが夢を見る舞台です。でも、私はその話をするのがちょっぴり怖いんです。だから極力、話さないようにしています」

 ワリエワはちょうど1年前に『オリンピック・チャンネル』のインタビューを受け、その心中を明かしていた。ロシア国内の競争は熾烈で、五輪は遥かな夢。乗り越えるべき困難を覚悟し、誠実にスケートに向き合ってきた今があるのだろう。

「初めて見たオリンピックは、2014年のソチ大会です。(ユリヤ・)リプニツカヤ選手の演技を見て、とても好きで。4歳くらいの頃の自分は、『オリンピックチャンピオンになるの! だって、なりたいんだもん』って言い続けていたらしいです」

 リプニツカヤもソチ五輪団体戦にSP、フリーともに出場し、どちらも1位となって、ロシアの金メダルに華々しく貢献している。

 すなわち、リプニツカヤに見せてもらった夢の風景を、ワリエワ自身も実現したことになる。ただ、そのせいで状況を危惧する声もロシア国内では出ている。団体戦のSP、フリーはシングルに向けた肉体的・精神的消耗を考慮し、他の選手で分担するのが通常と言える。リプニツカヤはシングルも金メダルが期待されたが(国内の五輪での活躍で英雄視され、報道が過熱したせいもあるが)、5位に低迷した。

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