「自分は今何をすればベストか」。鍵山優真がGPファイナルへ1位進出。好結果の背景にある冷静さ (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Getty Images

 その構成は出遅れからしっかり結果を残そうとしたイタリア杯と同じで、4回転は2種類3本。最初の4回転サルコウは3.29点の加点をもらうジャンプにしてきれいに決めると、3回転ルッツを挟んで4回転トーループ+4回転トーループも完璧に決め、次のトリプルアクセルからの3連続ジャンプにつなぐ、安定感のあるいい流れを作った。

 だが後半は崩れた。最初の4回転トーループが片手をつく着氷になると、続く3回転フリップ+3回転ループはステップアウト。そして、「後半は体の心配はなかったが、先に脚のほうがきつくなってしまった」と、最後のトリプルアクセルはシングルになるミス。終盤の2種類のスピンはスピードのある回転にして締めくくったが、演技直後は氷に手をついて悔しそうな表情になった。

 結局、フリーの得点はイタリア杯より11.72点低い185.77点だったが、合計は286.41点にしてSP4位から2位に上げてきた同学年の佐藤駿(フジ・コーポレーション)を21.42点上回る圧勝で、GPシリーズ2勝目をあげた。

 それでも鍵山は、初進出となる日本開催のGPファイナルへ向け、慎重に言葉を選んだ。

「今シーズンの目標のひとつでもあるファイナルへ2回優勝していけることはすごくよかったですが、自分はまだファイナルで優勝を争う実力があるかと言われればそうではないので。今回や前回の試合を見ても実力が足りないなと感じているので、もっと練習をして4回転ループだったり、後半にもいいジャンプが跳べるようにしていきたいと思います」

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