世界最高得点デビューの一方で引退も続々。激しすぎるロシア女子の新旧交代 (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by AP/AFLO

 世界のトップ争いを繰り広げるだろうロシア女子スケーターの名前を列挙してきたが、残念ながらそこにザギトワの名前はない。まだ19歳で、現役続行の意思を表明しながらも、今季のロシア代表強化メンバーから除外され、北京五輪への道は事実上、絶たれている。現在はインフルエンサーとして、テレビ番組の司会やモデルとタレントなどの活動に取り組んでいる。

 シニアに転向した後のロシア女子の選手寿命は、日本の女子と比べるとかなり短いと言えるかもしれない。現在もトップ選手として活躍するトゥクタミシェワは例外で、平昌五輪銀メダリストで21歳のエフゲニア・メドベデワは体調不良により今季の競技復帰を見送った。

 ソチ五輪女王のアデリナ・ソトニコワも2015-16シーズンを最後に競技会に出場せず、2020年3月に23歳で現役引退を表明。また、ジュニア時代から輝かしい実績を残してきたエレーナ・ラジオノワも、2018年から活躍の機会を失ったまま、コロナ禍の昨年9月に21歳の若さで現役引退した。新星たちが続々と誕生する選手層の厚さもあって、活躍の場から押し出される20歳前後のスケーターたちが大勢いることは指摘しておきたい。

 北京五輪を控える今季は、苛烈な世代交代を繰り広げてきたロシア女子にとってどんなシーズンとなるのか。どの選手にとっても初出場となる五輪代表切符3枚をめぐる熾烈な争いが展開されることは間違いない。

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